わたあめちゃんのお墓

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おかあさんのこと 2

わたしがおかあさんのことでいちばんよく覚えているのは、殴られたことでもなく、追い出されたことでもなく、褒められたり大好きといわれたことでもありません。それはある深夜のことでした。わたしはそのとき2階の自室で寝ていましたが、おかあさんの悲痛な声が聞こえて目が覚めました。夜中におかあさんの泣き声が聞こえることはよくあることでした。階段から1階の光が漏れているのが見えたので、2階の廊下から下を見てみました。すると、おかあさんがお風呂場に裸で蹲って泣いているのが見えました。どうしようかと迷っていると、そのうちに知らない男の人がおかあさんの背後に近づいてきました。わたしはこの男がおかあさんを傷つけたのではないかと疑いましたが、その男はおかあさんに大丈夫かと声を掛けました。何が起きているのか全く分かりませんでした。見てはいけないものを見てしまったような気がして、すぐに自室に戻り布団に入りましたが、その出来事が気になってしまってなかなか眠ることができませんでした。

わたしが高校2年生の6月に、おかあさんは再婚しました。おそらく、あのときの男とは違う人ですが、お相手とは再婚する前から付き合いがあり、よく高めの肉でBBQをしたり遠くへ連れて行ったりしてもらい、楽しい経験をたくさんさせてもらいました。弟は再婚に反対していましたが、わたしはおかあさんがどのような人生を送ろうが大して興味がなかったこともあり、また、おかあさんに幸せになってもらいたかったので、賛成していました。結婚式はいつ挙行するのでしょうかね。

ある日、わたしはもう使われていないおかあさんの古いスマホを見ました。人のものを勝手にみるのは悪いことですが、特に理由もなく好奇心で開きました。LINEを起動しました。履歴を見ると、2人の男性(片方は義父)とボダっ気のあるトークをしていました。おかあさんは当時の彼氏のことを書いた私の日記を気持ち悪いだのなんだのと散々言いましたが、おかあさんもわたしみたいなところがあったのを少しおかしく思いました。わたしはそのトーク履歴を見なかったことにして、スマホの電源を落としました。